親知らずは全身麻酔で抜歯できる?

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親知らず抜歯の怖さを解消したい方へ

親知らずの抜歯について

親知らずの抜歯は、歯医者で最も頻繁に行われている口腔外科の治療です。親知らずが生えてこない方もいる一方で、現在でも多くの人は親知らずが20歳前後で生えてくることが一般的です。

しかし、親知らずは他の歯と同じようにまっすぐ・しっかりと生えてくるとは限りません。半分歯茎に埋もれていたり、横を向いて生えてくることがあるため、そのまま放置しておくとお口に悪い影響を及ぼすことがあります。歯医者ではそのような時や、そうならないために親知らずの抜歯をお勧めすることがあります。

半埋伏の親知らずと埋伏の親知らず

抜歯に使う麻酔について

親知らずの抜歯は「歯肉の切開」「歯の切削」「歯を顎の骨から取り出す(脱臼)」などを行うため、他の歯の治療と比較すると出血や痛みが出やすくなります。そのため、治療箇所には麻酔をしっかり効かせた状態で治療を行います。

一般的には虫歯治療などで使われる麻酔と同じものが使用され、患者様の痛みの感じ方や希望を伺って麻酔の調整を行っていきますが、歯科治療や痛みに対する怖さが強い患者様からは、全身麻酔をした状態での治療について相談を受けることも多いです。

結論からいうと、親知らずを全身麻酔で抜歯することはあります。しかし、どこでも全身麻酔での抜歯が出来るというわけではありません。全身麻酔には大きなリスクが伴うため、大学病院等の入院設備があるような基幹病院での抜歯となります。また、希望したからといって、誰もが全身麻酔で抜歯を行ってくれるわけではありません。

局所麻酔を歯茎に注射される患者
カウンセリングをする歯科医師

この記事の監修

アップル歯科伊丹駅前 歯科医師

内藤ないとう うた先生

親知らずの抜歯の抜歯に限らず、「歯の治療が怖い」「痛みを感じたくない」と思われて、全身麻酔を使用した歯科治療をお探しになる患者様は多くおられます。

当院で可能な麻酔の種類と特徴をお伝えしつつ、患者様にとってより良い治療の形が分かるようにご紹介いたします。

歯科治療で使う麻酔の種類

抜歯時の麻酔の選び方

親知らずの抜歯の場合でも、基本的には他の治療と同じく、治療部位に注射する局所麻酔が使用されます。そして、ほとんどの歯科医院では抜歯に利用できる局所麻酔以外の麻酔方法を取り扱っていない場合が多いです。そのため、どんな医院に行っても麻酔の方法を自由に選べる訳ではありません。

大学病院や総合病院以外でも、全身麻酔を取り扱っている歯医者はなくはありません。しかしそれは一般的ではなく、ごく稀なケースで、元大学病院等で勤務していた歯科麻酔医などが開業された歯科医院等が考えられます。

そのため、当院のような一般的な開業医で親知らずの抜歯で検討できるとしたら、局所麻酔のほかは、笑気麻酔や静脈内鎮静麻酔などが考えられます。

スマホで全身麻酔について検索する女性

局所麻酔

局所麻酔は、最も一般的な歯科治療で行われる麻酔方法です。具体的には、治療箇所周辺の歯肉へ麻酔を注射し、麻酔が効いてくるまで少し時間を置いてから治療を開始する方法です。

特に、下顎の親知らずへの麻酔は骨の厚さの関係で麻酔の効きが遅い・効きにくいとされているため、患者様が痛みを感じる場合などは麻酔の量を調整することができます。

局所麻酔は患者様の意識がある状態で行うため、麻酔時の注射針の痛みや、治療中の怖さの感じ方もあまり変わらない方法です。その分、最も簡単で広く扱われている麻酔方法と言えます。

局所麻酔

笑気麻酔

笑気麻酔は「笑気吸入鎮静法」とも呼ばれる方法です。鼻から亜酸化窒素というガスを酸素と一緒に吸引することで、身体をリラックスした状態にします。これによって恐怖や痛みが和らぎ、抵抗感を軽減して治療を進められます。

笑気麻酔中はリラックスした状態になりますが意識はあり、痛みが出ると考えられる治療箇所には局所麻酔を行うので、治療を補助するための麻酔と言えます。笑気麻酔の機材を取り扱っている歯科医院は少ないですが、親知らずの抜歯で笑気麻酔を利用する場合は保険診療できるケースもあるため、メリットの多い麻酔方法でもあります。

※当院での取扱は自由診療の笑気麻酔のみとなります。

笑気麻酔

静脈内鎮静法(点滴麻酔)

静脈内鎮静法は、点滴によって麻酔を身体に入れることで、眠ったような状態で治療ができる麻酔方法です。全身麻酔と違うところは意識が残っている状態だという点で、呼吸器などをつけなくても良い方法になります。

意識が残っている状態ではあるものの、治療中の記憶は残らないことが多く、痛みや恐怖を大幅に解消できる方法と言えます。専門知識を持った有資格者と設備が必要なため一般的な歯科医院での取り扱いは少ないですが、当院では自由診療で静脈内鎮静法を使った治療を取り扱っております。一部患者様が要件を満たせば、保険診療での受診が可能な施設もあります。

※当院での取扱は自由診療の静脈内鎮静法のみとなります。

静脈内鎮静法の様子

全身麻酔

全身麻酔は、点滴による麻酔で意識を無くすことで手術を安全に行うための麻酔方法です。全身麻酔は笑気麻酔や静脈内鎮静法と違い、呼吸が弱くなったり、術前の絶食・絶飲、手術前後の入院などが必要になるため、一般的な歯科医院で行われることは少ないです。しかし、全身麻酔という言葉に聞き馴染みがあるため、全身麻酔と静脈内鎮静法を混同されている方も多いと思います。

全身麻酔を行うためには専門の機材や資格を持ったスタッフ・設備が多く必要なため大きな病院で使われることが多く、取り扱いのできる歯科医院は全国でも少数です。ですが、全身麻酔を行わなければならないほど重大な状態の患者様がおられることも事実です。当院では全身麻酔を行うことはできませんが、治療に必要と判断した場合にはしかるべき紹介状をお渡しすることもあります。

※当院では全身麻酔の取扱はありません。

全身麻酔の様子

全身麻酔が考慮される抜歯ケース

抜歯での全身麻酔はごく稀です

ごく少数ですが全身麻酔を取り扱っている歯科医院はあるものの、特別な事情がない限り親知らずの抜歯のみで全身麻酔を行うことは少ないと考えられます。また、そういった全身麻酔を取り扱っている歯科医院は、自由診療の枠組みで麻酔治療を提供している場合が多いので、保険診療でも可能な親知らずの抜歯をより高額で受ける必要があります。

そのため、以下のような特別な症状がある場合を除いて積極的に全身麻酔をお勧めすることはないと言えます。全身麻酔以外にも静脈内鎮静法は類似の麻酔効果が期待できるため、抜歯の際の麻酔方法が気になっている方は一度しかるべき歯科医院へ相談してみることをお勧めいたします。

呼吸器を付ける医師

1.親知らずの複数同時抜歯

親知らずの抜歯は、痛みや違和感の影響によって少なからず術後数日間の食事に支障が出ます。そのため、基本的には片方の歯で食べ物が噛めるように、上下左右同時に抜歯することは積極的に行いません。

しかし、何らかの理由で間隔を空けて抜歯時間を確保するのが難しかったり、すぐに抜歯しなければならない特別な事情がある場合は、同時に抜歯することも稀にあります。そういった場合、身体への負担や時間を考慮して全身麻酔での抜歯が選ばれることがあります。

2.歯科恐怖症

歯科治療へ対する恐怖感が強く、抜歯をする以外にも「他人に口を診られるのが怖い」「歯科医院そのものが怖い」など、治療を受けることが極端に困難な方もおられます。歯科恐怖症は親知らずに限らず歯全体の治療が必要な場合も多く、一般的な治療方法が受けられない事もあります。

こういった症状があり、抜歯を含め多くの治療が必要で治療時間も長くなることが予測される場合、安全に治療するためにも全身麻酔の使用を検討できます。

3.極度の嘔吐反射・絞扼反射

嘔吐反射は、口の中に異物が入った時に強い吐き気が起こる反射で、実際に嘔吐が起こらない反射は絞扼反射こうやくはんしゃと呼ばれます。歯科治療では多くの歯科用品をお口の中に入れるため嘔吐反射は起きやすいですが、一般的な範疇を超えて過剰に嘔吐反射が起こってしまう方は治療がままならない事もあります。

このような場合は全身麻酔によって嘔吐反射が起こることを抑制できるため、反射が強く治療がままならない方にとっては有効な麻酔方法と言えます。

4.パニック障害を持っている

パニック障害とは不安障害の一種で、動悸やめまい・呼吸困難などが起こってしまう病気です。閉所で起きる傾向が強く、歯科医院の診療室でも起こりやすいとされているため、一般的な麻酔方法では歯科治療が難しい場合があります。

嘔吐反射と同じく全身麻酔によってパニック障害の発作を抑えることができるため、抜歯などを含め歯全体の治療を進めるためにも全身麻酔が選択されることがあります。

当院で対応可能な麻酔方法

笑気麻酔による治療

通常の麻酔だけでは怖さや不安があり、鎮静麻酔をするほど費用をかけたくないという方には、「笑気麻酔」をお勧めしています。当院は笑気麻酔に必要な専用の機材を用意しておりますので、治療のオプションとして提供しています。

笑気麻酔は鎮静麻酔などと比較すると麻酔効果は控えめですが、インプラント治療や審美的な詰め物・被せ物治療など、外科的処置や不快に感じる音・痛み、薬品の臭いが出る可能性のある治療に適しています。

ただし、当院でお取り扱いする笑気麻酔は自由診療による治療でのみ利用可能とさせていただいております。保険診療でのご利用はできませんのであらかじめご了承ください。また、妊娠中や鼻詰まりなど、患者様の症状や状態によっては笑気麻酔を受けられない場合もあるため、注意が必要です。

笑気麻酔の機械

静脈内鎮静法による治療

当院では全身麻酔を受けることはできませんが、全身麻酔に近い麻酔効果がある静脈内鎮静法を取り扱っています。親知らずの抜歯以外にも、集中治療やインプラント治療などの外科手術で利用するため、必要な設備が揃っています。

静脈内鎮静法は全身麻酔と違い入院の必要がなく、食事制限などの制約も少ないことがメリットです。

そして何より、全身麻酔を希望される方の中にも、静脈内鎮静法で快適な治療が可能になる患者様も多くおられます。手術や恐怖感に対する心配は沢山あると思いますが、自分の持病や状態をしっかりと把握して麻酔方法を選ぶことで、治療方法の選択肢を広げることができます。

外科治療を行う歯科医師

静脈内鎮静法の注意点

当院で取り扱う静脈内鎮静法は自由診療でのみ受け付けております。そのため、静脈内鎮静法を利用して行う抜歯なども自由診療による治療である必要があり、保険診療と比較すると高額な治療になります。

また、静脈内鎮静法は歯科麻酔医によって麻酔の管理を行う必要があるため、いつでもすぐに出来る治療方法ではありません。歯科麻酔医が常駐している歯科は稀ですので、当院のような開業医で静脈内鎮静法を行うためには、非常勤の麻酔医を招聘して行う必要があります。ご自身の親知らずを抜く必要があるのか、他に治療箇所が無いのか等、お口の状態に対して理解を深めてから治療方法を選択することが重要です。

抜歯された親知らず

短期集中歯科治療について

静脈内鎮静法を利用して行う主な治療として、短期集中歯科治療があります。親知らずの抜歯に限らず、歯科治療は複数回通院する必要がある治療が多いため、どうしても複数回の来院で長期間になりやすいです。これは多くの治療が必要な患者様にとってはかなりの負担になってしまいます。

当院では通院回数や負担を軽減したい患者様のために短期集中歯科治療を利用できます。2〜8時間ほど一人の歯科医師の治療時間を確保し、連続して治療できる箇所をまとめて進める治療方法です。同時に静脈内鎮静法を利用することで、長い治療時間でも患者様の負担を軽減することができます。

詰め物や被せ物など、治療後に製作が必要な物を除いて大幅に治療期間を短縮できますが、行う治療は全て自由診療となり、治療費は「短期集中歯科治療(歯科医師の確保)」「治療費用(自由診療)」「静脈内鎮静法(任意)」となり、回数を分けるよりも高額になります。

短期集中歯科治療の特徴

  • 歯科医師の治療時間を2〜8時間確保します。
  • 治療を一度に行うことで、通院回数を削減できます。
  • 静脈内鎮静法を併用することで、長時間治療の負担も軽減できます。

自分に合った麻酔方法で抜歯できます。

ご自身にあった医院を見つけましょう

全身麻酔を利用した歯科治療は歯科医院より主に大きな病院をで行うことが可能な場合はありますが、そのために遠方に赴く必要があったり、入院費や治療費も嵩むことが考えられます。そして、全身麻酔が必要な方がおられる一方で、必ずしも全身麻酔だけが最適な麻酔方法ではない場合もあります。重要なのは、無理のない範囲でご自身に合った治療方法が選択できる歯科医院に通うことです。

アップル歯科伊丹駅前では親知らずの抜歯はもちろん、笑気麻酔や静脈内鎮静法なども可能な歯科医院ですので、幅広いご要望にお応えすることができる他、予防歯科をはじめとした保険診療等でも通いやすい歯科医院です。治療方法でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

親知らずのカウンセリングをする歯科医師

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この記事の編集・責任者は歯科医師の内藤詩です。
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親知らずは全身麻酔で抜歯できる? | 公開日: 2024/08/20 | 更新日: 2024/12/03 | by アップル歯科伊丹駅前

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