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虫歯が進行し、歯髄という神経にまで達すると、抜髄という歯の神経を抜く処置を行う必要があります。この抜髄という処置は、歯科治療としては長らく行われてきた処置ですが、その方法は昔からほとんど変わっていません。歯を削り、器具を使って感染した神経や血液を掻き出し、根管をキレイに掃除をした上でお薬を詰めます。この処置は、ほとんどが肉眼で行われ、歯科医師が培ってきた技術と勘を頼りに行われます。
しかし、根管というのは直径1mm以下の細い管で、曲がりくねったり本数が違ったりと、多種多様です。その上、治療中は根管が唾液にさらされるため感染のリスクが高く、曲がった根管の先までキレイにするには相当の技術を要します。そのため、保険診療における根管治療の再治療率は45%〜70%と言われており、再発リスクの高い治療と言わざるを得ません。
この難しい根管治療を、特別な道具や手法を使って行うのが精密根管治療です。マイクロスコープという歯科用顕微鏡で根管内を拡大し明るい視野を確保ながら、ラバーダム防湿というゴムのシートで歯を唾液から隔離し、ニッケル・チタンファイルという超弾性と形状記憶を持ったファイルで複雑な根幹内の神経を確実に取り除きます。
それでは、精密根管治療と通常の根管治療はなぜやり方が異なるのでしょうか。それは保険診療の目的とルールが大きく関わってきます。
保険診療には様々な決まりがありますが、原則の中に「医学的に妥当適切な診療を行い、診療報酬点数表に定められた請求を行う」というものがあります。これは、患者の健康の保持増進を行う治療を、診療報酬点数表に定められた治療の中から選ぶということです。つまり、診療報酬点数表に無い治療は、保険診療として請求することができません。
精密根管治療は、この診療報酬点数表にはない処置を行ないます。つまり、保険を使う場合に必要な「根管治療が必要な場合は、この処置をする」というルール以外の処置をを行う治療になりますが、このルール以外の治療で「確実に視野を確保する方法」や「治療中の感染リスクを抑える方法」、そして「高価な道具を使って効率的に根管をキレイにする道具を使う」ことが出来るようになります。
また、この診療報酬点数に頼らないことで、時間を確保することも可能となります。例えば診療報酬点数表にある治療を、時間をかけて行うと、歯科医院側が赤字になってしまうような治療でも、自由診療にすることで、じっくりと時間をかけて治療を行うコストの設定ができます。そのため、当院の精密根管治療では、60分〜90分と長い治療時間を取る代わりに、通常3〜5回かけて行う根管治療を、1回で完了させることができます。これは、回数を減らすだけではなく、治療中の根幹を唾液にさらさないという意味でも、治療の成功率を高めることになります。
これにより、保険診療の治療よりも確実な方法で根管治療を行い、再発リスクを抑えた根管治療が、自由診療の精密根管治療です。
精密根管治療はマイクロスコープ・ラバーダム防湿・ニッケル・チタンファイルを使い、セラミックや金の詰め物・被せ物をすることで、精密な根管治療と、再発しにくい環境を作ります。
マイクロスコープとは、肉眼では見ることができない細くて暗い根管内を3〜25倍まで視野を拡大し、高い照度で目視することができる歯科用顕微鏡です。
肉眼で根管治療を行うということは、歯科医師の経験や勘を頼りに、手探りで治療することになります。そのため、歯科医師によって技術差がでたり、見落としが生じることもあります。
しかし、マイクロスコープを使うことで、暗い根管内や見落としがちな小さな根管も、しっかり確認しながら施術を行うことが可能になります。
ラバーダム防湿とは、治療する歯をゴムのシートで隔離し、治療中の根管が唾液や浸出液に触れることを防ぐとともに、誤飲や薬品の液垂れなども予防します。
唾液の中には、1gの中に1,000億個以上の細菌が生息しています。その中には、虫歯菌や感染症の原因となる菌ももちろんいます。
根管治療で最も重要となるのは、根管内に菌を入れないことです。ラバーダム防湿は、根管治療の成功率を高め再発を予防するために、重要な役割を果たします。
根管治療で、根管内の汚染物質(虫歯菌に感染した神経・血管等)を除去するために使用するファイルは、通常ステンレス製のものが一般的です。しかしステンレスファイルは固くて細いという特性はあるものの、湾曲した根管に無理やり使うと湾曲部分に引っかかって段差を作ってしまったり、穿孔してしまうことがあります。
しかし、ニッケル・チタンファイルという弾性がある形状記憶合金でできたファイルを使うことで、曲がった根管内でも根の先までスムーズに・キレイに汚染物質を除去することができます。
根管治療後は、薬で消毒した根管内を封鎖し、補綴物(詰め物や被せ物)で歯冠部を形成する必要があります。保険診療の場合、補綴物はパラジウム(銀歯)かCAD/CAM冠という硬質レジンの被せ物が入ります。しかし、銀歯は経年劣化・接着不良、硬質レジンには適合不良や経年劣化・接着不良などによる二次カリエスのリスクがあります。
精密根管治療の場合は自由診療のため、補綴物も自由診療となります(保険のルール上1つの歯に対し保険診療と自由診療を混合することはできないため)。そして自由診療の補綴物の選択肢となるのが、セラミックや金です。セラミックは汚れが付きにくく歯にしっかり接着し、劣化しにいといというメリットがあり、金には弾性があり歯との密着性が高いというメリットから、いずれも二次カリエスのリスクを抑えることができます。
虫歯が進行し、歯科医師に「歯の神経を抜く必要があります」と言われると、ほとんどの人がショックを受けます。そして、何気なしにそのまま保険の治療で抜髄処置を受けられます。
しかし、実は根管治療には、この精密根管治療のような選択肢があることをご存知無い方もいらっしゃいます。
根管治療は最初の1回目がとても重要で、最初にしっかり治療ができていなければ、後から虫歯の再発を繰り返し、どんどん歯質が失われ、最悪の場合抜歯に至ることもあります。この負のループに陥る可能性を下げることが出来るのが「精密根管治療」です。
アップル歯科では、抜髄後も自分の歯を末永く使いたいというご要望の患者様に対し、根管内をキレイに整えて再発リスクを抑える補綴をする、精密根管治療をご提案することがあります。
アップル歯科には、歯の根を取る処置が必要と言われた患者様より「マイクロスコープを使った根管治療はできますか?」「ラバーダムを使って治療して欲しい」というようなお問合をよくいただきます。
神経を取る処置は最初が大事という認識をお持ちの方は、少なくありません。もちろん、一度虫歯が再発したり、歯の根の先に膿袋ができる「根尖性歯周炎」が発症した方にも、精密再根管治療は再発予防に有効です。
神経を取る処置が必要になり、精密根管治療をご希望でしたらお気軽にご相談ください。もちろん、精密根管治療をするかどうかは、カウンセリングを受けてから決めていただきます。
虫歯が進行し、歯髄という歯の神経まで達すると、抜髄という神経を取る処置が必要となります。しかし、歯は神経を取ると、虫歯になっても気づかなかったり、破折の原因となることもあり、歯を失うリスクが高くなります。
そのため、歯科医師はできるだけ虫歯がこの神経に近づく前に取り除くことを考えます。それでも、神経に達してしまったり、神経の近くまで虫歯が来た場合は、その虫歯を取り除くことで神経も除去しなければなりません。しかし、そのような状態でも、状況がよければ神経を残せる方法が1つだけあります。
それが歯髄温存療法という治療法で、当院では主にMTAセメントという特殊なセメントを使って、一部感染した神経や露髄(歯を削ることで一部神経が露出すること)した歯を、抜髄せずに治療できることがあります。
虫歯の検知液を使い、感染している歯質を確認します。
虫歯に感染した歯質を丁寧に削って除去します。
歯髄の生活反応を確認し、感染している場合一部を除去します。
歯髄を残したままMTAセメントで被覆します。
削った部分にレジンの仮蓋をします。
最終の詰め物・被せ物作成し、セットします。
上記治療の内容 | MTAセメントを使った歯髄温存 |
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期間・回数 | 2ヶ月・4回(カウンセリング・検査含む) |
費用 | 自由診療:MTAセメントによる歯髄温存療法50,000円+セラミックアンレー60,000円 総額 110,000円(税込121,000円) |
リスク・副作用 |
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歯髄温存療法は、万能な治療ではありません。MTAセメントを使って、生活反応を保ったまま歯髄を温存出来る状態というのは、虫歯が進行していく中で、限られた期間に発見・治療できる場合にのみ適応できます。
そのため、自発痛といって、常に痛みを感じている状態の場合などは、この歯髄温存療法を使った治療ができない場合が多いです。
また、歯髄温存療法が可能かどうかは、実際に虫歯を削って歯髄を確認してみるまでわかりません。そのため、歯を削った上で神経への感染が進んでいる場合は、そのまま抜髄(神経を取る処置)が必要となります。
例え歯髄温存療法ができた場合でも、治療後に神経の生活反応を確認する段階で、失活(神経が死んでいる状態)している場合もあります。また、その時点では神経が生きていても、数カ月後・数年後に突然神経が失活することもあります。
これらは、予め治療時説明しますが、同意頂いた上で治療に臨む必要があります。
歯髄温存を希望され、歯を削った後に歯髄温存ができないと判断した場合や、歯髄温存療法をしたけど神経が失活した場合などは、より成功率の高い精密根管治療を差額で受診頂くこともできます。
歯髄温存療法をする前であれば、そのまま保険診療の根管治療を行うことも可能です。
「削ってみなければわからない」と言われると、ご不安になられるかもしれませんが、歯の神経を残すということは、とても重要なことです。神経を残せる可能性があるのなら、私達歯科医師は全力で歯髄温存の治療にあたらせていただきます。
神経を残せる可能性がある場合、ご相談の上ご検討ください。
虫歯ができたけど神経は取りたくない、何とか神経を残したいという思いがありましたら、一度ご相談にお越しください。
あなたの歯の神経を残せる可能性があるかどうか、検査の上ご相談させていただきます。
神経を取る処置を行うということは、それだけ歯の歯質は奪われるということです。そして、失活歯(神経を失った歯)が起因して歯を失うことがあるというのは、紛れもない事実です。
虫歯治療時、できれば神経を残したいというご要望がございましたら、お気軽にご相談ください。
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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診療開始 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 |
診療終了 | 18:30 | 18:30 | 13:00 | 18:30 | 18:30 | 17:00 |
診療情報
休診日:日曜・祝日
※日曜・祝日診療は下記診療カレンダーをご覧下さい。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||||||||||||||
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