大人の歯は上下合わせて28本あり、親知らずを含めると32本あります。この歯が綺麗に並ぶことで歯並びが出来上がっています。この歯並びがなんらかの理由でしっかりと並んでいないと、不正咬合と呼ばれます。
不正咬合は歯並びの悪さ・見た目の悪さが主に取り上げられることが多いですが、見た目だけでなく虫歯や歯周病の原因となったり、発音の悪さや不定愁訴を起こすリスクもあるため、咬み合わせを考慮した治療が大切です。
当院では、両の歯がしっかりと咬み合うことを第一に考えて治療を進めていきます。
ガタガタとした歯並び。
歯と歯の間に隙間が多い歯並び。
前歯が咬み合っていない歯並び。
上の歯・顎が前に出ている歯並び。
下の歯・顎が前に出ている歯並び。
上顎が下顎に大きく被さった歯並び。
不正咬合によって同じ場所へ必要以上の力が加わったり、同じ場所に磨き残しが溜まりやすくなることがあります。
その結果、治療をしてもすぐに虫歯になってしまったり、特定の歯だけ極端に傷みやすくなったりします。
咬み合わせの悪さや癖によって、頭痛や肩こり・めまいなどの不定愁訴が起こる場合があります。
これらの症状全てが咬み合わせによるものとは断定できませんが、咬み合わせの悪さによって引き起こる症状は咬合関連症と呼ばれます。
当院の治療方針として、「一口腔一単位」というものがあります。これは、ひとつの歯だけを治療する場合でも、口腔内全体のことを考慮して治療を進めるという考え方です。
つまり、歯の位置や見え方・形が違う個人の歯に合わせた個別の治療が必要になるということです。
この方針を進めるために、どの患者様に対しても初診時に写真撮影をはじめとした資料撮りを欠かさず行います。写真を残すことによって、より正確な診断と治療計画が可能になります。
咬み合わせが起こす症状は、不正咬合の有無に関わらず起こることがあります。ですので、不正歯列を矯正治療で治すことで症状も治るとは限りません。
ですので、必ず矯正治療が必要というわけではなく、痛みを抑える治療を進めながら原因を追求していき、それに合わせた個別の治療を進めていくことになります。。
一口腔一単位の考えに則りながら、検査と診断によって最適な治療を探していきます。
「歯と歯が当たると痛い」「虫歯じゃないのに痛みがある」という症状がある場合は、咬合性外傷の疑いが考えられます。
咬合性外傷とは、歯と歯の接触が原因になって歯が損傷したり周囲の歯周組織が炎症を起こす症状を指します。不正歯列によって咬み合わせが良くない方に起こりやすく、寝ている時の強い食いしばりや歯ぎしりから受ける力が主な原因と言われています。
一次性咬合性外傷は、咬み合わせが原因になっている咬合性外傷のことです。咬み合わせによって局所的に強い力がかかったり、就寝時の食いしばりで長く強い力が加わると痛みを感じます。
歯が当たっている部分を調べて治療歯の高さを調整したり、就寝時に付けるマウスピース(ナイトガード)を作製して歯を保護する処置も有効です。
良くない咬み合わせは歯並び矯正によって改善することができますが、矯正は健康保険の適用がない自由診療となります。
二次性咬合性外傷は、歯周病などから起因する咬合性外傷のことです。歯周病の進行によって歯を支える骨が溶けて歯がグラグラ揺れるようになります。
その結果、噛んだ時の力に耐えられなくなり、痛みや浮いた感じを覚えるようになります。
二次性の場合、噛む力より歯を支える歯茎や骨の問題となるため、咬み合わせの調整よりも歯周病治療が優先されます。
歯周病治療を進めて状態を安定させてから、歯の接触位置などを調整して症状を改善させます。
咬合性外傷と似た症状で、根管治療を行なった後の歯が痛むことがあります。
歯が接触した時に痛む症状があると混同してしまいますが、これは咬み合わせが原因ではなく、治療した根管で細菌が繁殖して再度炎症を起こしている状態で、根尖病巣と呼ばれます。
歯の根の先に膿が溜まり、場合によっては歯茎が膨らんでいることもあります。この場合は再根管治療(感染根管治療)を受ける必要があります。
上下の歯が噛み合って安定した状態になるよりも前に、口を閉じる途中で先に歯が当たる状態を早期接触と言います。
早期接触があるとその部分だけ余計に力が加わっていることになるため、咬合性外傷の症状を引き起こしやすいです。
詰め物や被せ物をした歯の高さや形が咬み合わせに合っておらず、対になる歯に負担をかけている場合があります。
詰め物や被せ物は年数とともに劣化していき、変形することもあります。不良補綴をやり変えることで症状を改善できる場合があります。
就寝時の歯ぎしりや食いしばりのほか、起きている時に歯を接触させてしまう癖(TCH)も咬合性外傷の原因になり得ます。
起床時は上下の歯に隙間が空いて安静になっているのが正常な状態です。癖を治療することは難しいですが、接触癖があることを自覚して意識的に歯を当てないようにすることが有効です。
当院では虫歯などの歯の問題のほかに、顎の痛みやトラブルも治療することができます。顎の使いすぎによる炎症から、変形による慢性的な痛みまで様々な痛みがあります。
特に顎関節症は男女関係なく発症する可能性のある症状で、日常生活に大きく影響を及ぼすため、適切な治療が必要になります。
関節円板という骨と骨の間にある軟組織が変形するなどの異常によって、口を開きにくくなる開口障害が起こります。
マウスピースによる治療を行います。
顎の使いすぎや強い噛み締めによる顎の筋肉の異常によって、口を開けた時に痛みを伴う開口時痛が発生します。
顎の筋肉は頭の側面に付いているため、頭痛のような症状を感じる場合があります。
症状としては筋肉痛と同様の症状ですので、痛みが出ている間は顎を安静にする必要があります。
その他、硬い食べ物は控えたり、あくびや大きく口を開くことは控えましょう。
顎を使った際に、「カクカク」「ポキポキ」と雑音がする関節雑音という症状が現れます。
音だけが気になっている方もいれば、他の症状と併発する場合もあります。
基本的に顎から音が鳴るだけの症状の場合、治療の必要はないとされています。
顎関節症の症状のうち、関節雑音を自覚している人はおよそ2割程度いると言われていますが、実際に治療が必要になる人はそれより少なくなります。(※1)
顎関節症かなと思ったら、顎の痛みの有無を確認してください。1週間以上顎の痛みが続くようでしたら、歯科医院での検診をお勧めいたします。
参考文献※1)図28より
顎の位置がずれたり、咬み合う力が強すぎることによって痛みや違和感がある場合、マウスピースによって症状を軽減できる見込みがあります。
スプリントと呼ばれるマウスピース型の治療器具を使うことで、歯と歯が当たることを軽減したり、顎を正常な位置に固定することができます。
咬み合わせの悪さに起因する顎関節症を歯列矯正で治すという考えも以前はありましたが、治療の効果が実証されているものではありません。
顎関節症による症状は、まずはセルフケアを徹底していくことが重要です。そのため、顎関節症のための第一の治療に歯列矯正が選ばれることはありません。また、顎関節症の症状が出ている場合は、矯正治療は行わない方が良いとされてます。
しかし、顎関節症が出やすい咬み合わせに対し、予防の意味で矯正治療を行うことに対しては、一定の効果が期待できます。
当院では治療の際に、咬み合わせを重要視した治療の計画や進行を心がけています。虫歯や歯周病の治療はもちろんですが、咬み合わせに起因する症状も多くあり、その診断はとても重要になります。
特に顎関節症や咬合性外傷についてお悩みの患者様には、咬み合わせの診断を元にした治療を考える必要があります。
初診時に撮影するレントゲンを始めとして、患者様の要望や症状に応じて咬み合わせに関する資料採集を行い、咬み合わせの診断を行っています。
口腔内全体を確認して問題がないか診断します。
横方向からのレントゲンで、骨格や歯の位置関係を確認します。
頭蓋骨と歯の立体的な位置関係を確認します。
歯の見た目や歯茎の状態を写真で残して経過観察します。
表情や姿勢を写真に残して、治療による変化を経過観察します。
お口の中を撮影して立体化することで、不正咬合の治療シミュレーションや噛み合わせの診断を行います。
必要な場合、型取りを行い模型を使った立体的な診断を行います。
当院はiTeroエレメント5Dを導入しており、光学印象を使った咬み合わせの診断を実施しています。iTeroはマウスピース矯正の分野で利用されることが多いですが、咬み合わせの診断でも有効に利用できます。
不正咬合(悪い咬み合わせ)がどのように治るのかシミュレーションしたり、向かい合う歯の接触が強い部分を可視化する機能を使って、よりわかりやすく自分の状態を確認できます。
硬いものを沢山食べると顎が疲れるように、歯が多く接触するとその分歯や歯茎に負担がかかります。特に就寝時の歯ぎしり・食いしばりは知らないうちに大きな負担を歯にかけてしまいます。
ですが、噛み締める力は病による症状ではないため、根本的な解決が難しいと言われています。そういった状態は、ナイトガードと呼ばれるマウスピースを使うことで緩和が期待できます。
ナイトガードは樹脂素材でできた歯を覆うマウスピースのような装置で、基本的に片顎だけに装着します。歯が接触する部分にクッションのような形でナイトガードが挟まるので、歯や顎にかかる力を緩和してくれる働きがあります。
ナイトガードの装着によって、起床時の顎の疲労感緩和・歯の破折防止・詰め物の脱離防止などのメリットがあります。
柔らかい素材でできたナイトガードです。伊丹アップル歯科では2mmの厚さのソフトタイプを基本として製作します。
手で変形できる程度の柔らかさで装着時の違和感も少ないですが、噛み締めの力が強いと破れてしまうこともあります。
ソフトタイプよりも硬い素材のナイトガードです。
硬い分耐久性はソフトタイプに勝りますが、装着時の違和感はソフトタイプより強いため、継続した装着が難しい場合もあります。
歯と歯が接触する部分が水平状にすり減っている状態がある場合、ギリギリと左右に歯ぎしりをする「グラインディング」の習慣がある可能性があります。
グラインディングは就寝時に音が出るので指摘されやすく、すり減った箇所が知覚過敏になったり、無理な動作で詰め物や被せ物が頻繁に外れるなどの症状があるため、ナイトガードで歯を保護することを推奨します。
セラミックの詰め物・被せ物は天然歯に近い見た目と機能性を持つ材料ですが、金属素材と違って強い力で割れてしまうリスクがあります。
自由診療の高額な治療になりますので、食いしばりの癖がありセラミック治療を受けられた方は、セラミックの寿命を伸ばすためにもナイトカードを推奨します。
根管治療によって歯の神経を取り除いた歯は、健康な歯に比べて脆くなり、金属製の土台を使用している場合は歯が割れるリスクが高くなります。
せっかく根管治療で残すことができた歯をダメにしないためにも、食いしばりの癖があり根管治療を行なった歯がある方にもナイトカードを推奨します。
ナイトガードの製作は歯型を取る必要があるので、治療が全て終わって歯の形が変わらない時に進めるのが最も効果的です。
予防歯科に移行する前に、歯の健康を守る役目を担えるナイトガードの製作をおすすめしています。
ナイトガードによる恩恵は、継続的な装着によって徐々に現れるものです。途中で使用を辞めてしまうとせっかくの治療が無駄になってしまいます。
ナイトガードを装着する時間やタイミングを決めて習慣づけるようにしましょう。
ソフトタイプ・ハードタイプに関わらず樹脂素材は破れてしまう素材で、長い場合でも約2年程度で破損してしまうと言われています。
歯の定期検診は虫歯の早期発見や健康増進に役立ちますので、それに併せて破損したナイトガードは定期的に再製作を行なってもらうようにしましょう。
当院では、歯の食いしばりや歯ぎしりによる、歯への負担を軽減するための治療として、咬筋ボトックス治療を自由診療メニューとして提供しています。
睡眠中などに、無意識下で行ってしまう歯ぎしりや食いしばりは、驚くことに500〜1,000kgほどの荷重が顎の骨にかかっていることをご存知でしょうか。
噛む力は咬筋と呼ばれる顔の筋肉によって生み出されますが、手足の筋力トレーニングと同様に、 強い食いしばりや歯ぎしりが続くことで鍛えられ、どんどん肥大化します。
咬筋が肥大化するにつれて、咬合力も高まり、歯や歯茎だけでなく顎にかかる負担も大きくなります。
噛む力から歯を守るために、歯科治療で、歯ぎしりや食いしばりによるダメージを軽減させることをおすすめします。
例えばマウスピースで歯を保護する方法や、歯列矯正によって歯並びを整えて、歯にかかる負荷をうまく分散させたり、ボトックス注射によって筋肉のこわばりを緩和させる方法があります。
ボトックス注射といえば、小顔効果やエラ張りの改善などにも用いられており、美容外科の施術をイメージされるかもしれませんが、歯医者でも治療目的で使用されています。
そもそもボトックス治療とは、ボツリヌス菌が作り出す、ボツリヌストキシンという毒素を筋肉に注射することで、緊張した筋肉を麻痺させる効果があります。
美容外科ではボトックスを注入することで、発達した咬筋を緩めることで顔を小さく見せることを目的としていますが、歯科のボトックス治療は咬筋によって生じる過度な咬合力を弱め、歯や顎を守ることを目的としています。
また、ボトックスはまぶたや顔の痙攣などの治療にも用いられており、美容でも医療でも活躍している薬剤です。
上記で説明したように、咬筋ボトックス(ボツリヌス)治療を行うことで、緊張した咬筋を緩ませる効果が期待できます。
患者様からは「小顔やエラ張りにも効くの?」と質問をいただくことがありますが、 歯科医院で行う咬筋ボトックス(ボツリヌス)治療は、歯や歯茎を守るための施術であり、美容効果をお約束するものではありません。
そのため、審美目的のボトックスを希望されるのであれば、美容外科や皮膚科にご相談いただくことをおすすめします。
ボトックスの注入によって、緊張で凝り固まった筋肉が緩和され、その結果、以前よりも顔が小さくなったという事例もありますが、それは副次的効果です。
歯科で行う咬筋ボトックス(ボツリヌス)治療は、あくまで食いしばりや歯ぎしりを改善したい方にご利用いただければと思います。
ボトックス注入後、4日〜2週間前後で効果が見られることが多く、その後3〜4ヶ月ほど効果が持続します。
咬筋ボトックス治療は、厚生労働省認可の薬剤を用いるため、安全性の高い施術ではありますが、 価格的に胎児への影響が無いことは証明されていないため、妊娠中の方(妊娠する予定がある方も含めて)や授乳中の方はご利用をお控えください。
また、もともとボツリヌストキシンにアレルギーをお持ちの方も同様です。年齢制限もありませんが、18歳に満たない方にもおすすめしておりません。
咬筋ボトックス治療を行う前に、カウンセリングにて歯科医師と相談し、施術が可能であるかどうかを判断します。
歯科で行う咬筋ボトックスは治療を目的としている施術ではありますが、保険診療の対象とはならないため、自由診療となります。
ボトックス治療は、保険診療のイメージをお持ちである方もおられますので、ご注意ください。
咬筋ボトックス(ボツリヌス)治療
片顎1CCずつ、両顎2CC
※保険適用なし
1回の施術費用 30,000円(税込33,000円)咬筋ボトックス(ボツリヌス)治療は、お顔の咬筋にボトックス注射を打つ施術であるため、 怖い、痛みが気になるという方は多いですが、チクッとした痛みを感じる程度であることが多いです。
痛みの感覚には個人差があるため、痛みを全く感じないとは言えませんが、施術を行う歯科医師は 極細の注射針を使用したり、痛みをできる限り軽減できるよう注意を払いますのでご安心ください。
冒頭で、就寝中の食いしばりや歯ぎしりの咬合力について触れましたが、歯に負荷をかけ続けること、歯が割れることも珍しくありません。程度にもよりますが、接着処理で対処できることもあれば、抜歯となってしまうこともあります。
歯を失ってしまうと、欠損補綴という治療が必要となります。
歯を壊してしまう前に、食いしばりや歯ぎしりの癖がある方はご相談ください。
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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診療開始 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 |
診療終了 | 18:30 | 18:30 | 13:00 | 18:30 | 18:30 | 17:00 |
診療情報
休診日:日曜・祝日
※日曜・祝日診療は下記診療カレンダーをご覧下さい。
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