出っ歯は咬み合わせの問題もさる事ながら、人の見た目・外見に大きく影響を及ぼします。そのため、出っ歯の人は思春期あたりからその見た目が気になりはじめ、歯の矯正をしたいと考え始める人が多くいらっしゃいます。
しかし、歯列矯正において大きな障壁となるのが、その「装置の見た目」「費用」「期間」です。マウスピース矯正は、この内「見た目」の問題をクリアにしてくれる、目立たない矯正装置です。
ここでは、これまでマウスピース矯正が「苦手」と言われてきた「上顎前突(出っ歯)」について、詳しくご説明します。
出っ歯は歯科用語でいうと、上顎前突(あるいは上下顎前突)という不正咬合です。歯列矯正では、あらゆる不正咬合を治療することが可能ですが、それぞれの咬み合わせに応じて、装置にも向き・不向きがあります。
もちろん、それはマウスピース矯正にも言えることで、過去には上顎前突はマウスピース矯正で治療するには不向きな不正咬合と言われてきました。
しかし、近年では装置の進化により、上顎前突もマウスピース矯正で治せる範囲が広がってきています。そのため、現在では多くの出っ歯矯正に、マウスピース矯正を使用する場合も増えてきています。
そもそも、上顎前突はなぜ起こるのでしょうか?実は出っ歯になる原因は、大きく分けて3つに分類されます。
この内、骨格の問題は主に遺伝や生まれつきのもので、前歯の傾斜の問題は指しゃぶりなどの習癖(くせ)や舌で前歯を押す舌癖(舌の習慣)などによって起こることが多く、先天的な出っ歯と後天的な出っ歯、そしてその原因が相まって起こる出っ歯があります。
上顎前突は、不正咬合と言われるぐらいですから良くない咬み合わせであることは間違いありません。
日常的には、歯が邪魔で口が閉じにくいために口腔内が乾燥することでお口の中に菌やウイルスが繁殖しやすい環境になったり、悪臭の原因になることがあります。
また、歯が前に出ていることから転倒した際やぶつけた際に歯を破損したり、口唇が切れやすくなるというリスクもあります。
更に2005年の調査では、8020達成者(80歳で20本以上歯が残っている人)を調べたところ、正常な咬み合わせが84.6%であったのに対し、上顎前突は15.4%しかいなかったということです(※1)。つまり、正常な咬み合わせに比べて、将来的に歯を失うリスクが高いということもわかってきています。
何より、出っ歯で最も気になるのはその見た目で、笑うと歯が大きくでることから笑顔が減ったり、口元を見せるのが嫌でマスクをするなど、コンプレックスから対人関係などに問題を及ぼすこともあります。
※1)8020達成者の咬合分類:上下顎前歯の前後関係は84.6%、上顎前突15.4%、反対咬合0%であった。
適応症例が年々増えているマウスピース矯正ですが、やはりどうしても苦手な症例もあります。
例えば出っ歯の原因が骨格に問題がある場合や、重度の叢生・開咬など他の不正咬合を併発している出っ歯など、まだまだマウスピース矯正ではキレイ且つ正しい咬み合わせに導くことが難しかったり、もしくは治せても時間がかかる場合もあるため、ワイヤー矯正をおすすめする場合もあります。
また、出っ歯の原因でいうと骨格的な問題で起こった出っ歯は、マウスピース矯正のみならずワイヤー矯正でも難しい場合があります。これらの矯正は時には外科矯正という顎の骨を切る手術が必要になることがあり、その術前・術後矯正にもワイヤー矯正を使用する場合が多いです。
マウスピース矯正の適応範囲は増えてはきていますが、マウスピース矯正で治療が可能な咬み合わせかどうかは、検査と診断を受ける必要があります。
出っ歯になる原因の多くに、歯が並ぶスペースがないことから起こることがあります。
歯が並ぶスペースがないと、歯は前に倒れながら広がることで、生えるスペースを確保しようとすることで出っ歯になります。
そのため、マウスピース矯正に関わらず、出っ歯を治すためには、前に倒れた歯を後ろに引っ込めるためのスペースを確保する必要があります。
歯のスペースを確保するには、以下の3つの方法や、これらを組み合わせることもあります。また、小児(子供)の場合は、咬合育形成という装置によって顎を広げる治療が主に使われますが、成人の場合は限定的にしか適用されないため、ここでの説明は割愛します。
歯を両顎で1〜4本抜くことでスペースを作ります。前突の程度が大きいときに適用されます。
臼歯遠心移動という方法で、最大片側2.5mm程度ずつ後ろに送ることができます。
IPRやストリッピングという方法で、1歯あたり0.5mm以内で歯を削り、スペースを作ります。
同じ上顎前突でも、マウスピース矯正が苦手な咬み合わせや、マウスピース矯正で治療が可能だけどワイヤー矯正が向いている咬み合わせもあります。
歯科医師による診断で、ワイヤー矯正を進められた場合は、これらの理由でマウスピース矯正より正確に治療ができる可能性が高いと考えられます。どうしても「マウスピース矯正でなければ嫌」という場合でなければ、ワイヤー矯正の方が良い結果を得られる場合があります。
一口にマウスピース矯正と言っても、世の中には多くのマウスピース矯正の種類があります。費用を売りにしているものや、ほとんど通院なしで出来るというもの、様々な種類がありますが、軽度の症例しか対応できないものや、しっかり歯が動かないもの、正しい咬み合わせを作れない物などもありますので注意が必要です。
当院が最も信頼して使用しているのはアメリカのアライン・テクノロジー社の「インビザラインシステム」という装置です。インビザラインは多くの種類があり、その症例毎に適した装置を使用できます。
上顎前前突の治療の場合、多くはコンプリヘンシブパッケージという全顎矯正の装置が使われることが多く、その相場は70万円〜120万円と医院よって幅があります。(当院の場合は80万円+税)
歯列矯正は自由診療のため費用は医院によって定められます。しかし、装置は同じ会社が作るからといって、安い方が良いとも言えません。インビザラインを作る際は、治療計画を作るクリンチェックと、治療の進行と共に起こる変化に柔軟に対応する診断力と技術力が必要になります。そのため、インビザラインによる治療を行う場合は、信頼できる技術を持った歯科医院を選ぶことが、患者様にとっての一番のハードルとなります。
マウスピース矯正は、歯の動きに合わせて少しずつ形の異なるマウスピースを1〜2週間ごとに交換することで歯を動かしていきます。
当院で使用するインビザラインの場合は、その装置によって治療期間は異なります。
上顎前突治療でよく使われるコンプリヘンシブパッケージの場合、平均50枚前後で治療を終えることが多くなります。期間としては2〜3年程度。コンプリヘンシブパッケージに枚数制限はありませんが、追加でアライナーを作成できるのは5年までとなります。そのため、最長5年まで治療は可能となりますが、5年程度かかる人はいなくもありませんが稀といえます。
また、軽度の前突や咬み合わせによっては、枚数の少ないプランで治療が可能な場合もあります。インビザラインGoやGoプラス(半年前後)、モデレートパッケージ(1年前後)などです。
どの装置でどの程度の期間がかかるかは、iTeroという光学式口腔内スキャナーを使うことで、おおよその枚数・期間をシミュレーションすることができます。
歯列矯正というと「痛い」というイメージをお持ちの方も多いようです。これは、歯に矯正力をかけることで歯を動かすためで、特にワイヤー矯正を経験した方は「ワイヤーを変えるたびに痛みを感じた」という人が多いようです。
マウスピース矯正の場合も、実はマウスピースを歯の形から少しずらして作ることで歯に矯正力をかけています。しかし、実際にはワイヤー矯正に比べ、マウスピース矯正は痛みが少ないと言われています。
ワイヤー矯正は初めて装置をつけたときやワイヤーを変えたときなど、やや気にる痛みが1週間程度続くと言われます。また、装置に凹凸があるため、口内炎もできやすくなります。
これに比べてマウスピース矯正は、痛みというより圧迫感や締め付けられているような感じを受ける方が多く、痛みを感じないという人もいます。また、それが原因となる口内炎ができやすくなることもほとんどありません。
ただしいずれも、顎間ゴムという特殊なゴム掛けを行うと、痛みが出る傾向は強くなります。それでも「痛いから矯正をやめたい」という人はほとんどいませんが、ワイヤー矯正の一種である裏側に装置をつけるリンガル矯正に関しては、途中でやめたいという人が一定数おられました。
Before
治療の内容 | マウスピース型矯正装置(インビザライン)による上顎前突の治療(非抜歯矯正) |
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期間・回数 | 2年4ヶ月・15回(カウンセリング・検査・クリーニング含む) |
費用 | 自由診療:マウスピース型矯正装置・インビザライン(800,000円)+専門相談(50,000円)、 総額 850,000円(税込 935,000円) |
リスク・副作用 |
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マウスピース矯正(インビザライン)は、1日20〜22時間装着しなければ、計画通り歯を動かえせません。基本的には、食事や歯磨き時以外は常に装着することになります。
マウスピース矯正中は、マウスピースで歯を覆うため唾液の流れが妨げられれ、唾液による虫歯の自浄作用が働きにくくなります。そのため、食後は念入りな歯磨きが必要です。
マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べ、歯科医師の手技が必要なことが少ない矯正です。その分、歯の動きや状態を確認するために歯科医師にチェックしてもらうことがとても重要です。
出っ歯に限らず、歯列矯正というのは費用や期間、生活の変化が大きいことから、始めたいけどなかなか踏み出せないという方も少なくありません。
しかし、私達歯科医師が矯正の相談に来られた方によくお声掛けする言葉として「いつか始めるつもりなら早いほうが良いですよ」とはお伝えしています。
というのも、矯正治療は見た目だけではなく、咬み合わせを改善する治療でもあります。早めに治療すれば良い咬み合わせで過ごす残りの人生が長くなり、遅くなるほど悪い咬み合わせの影響を受ける時間が長くなるめです。また、年齢を重ねる毎に、歯の動き遅くなることも理由の一つです。
矯正をするべきか、しないべきか、マウスピース矯正かワイヤー矯正か、気になる人はまずはお気軽にご相談にお越しください。決めるのは、歯科医師のアドバイスを聞いてから考えてみてはいかがでしょうか?
当院は、歯列矯正・マウスピース矯正の無料相談も承っております。お気軽にご利用ください。
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